金曜23時の隣人

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隣の部屋から、奇妙な歌声が聞こえてくる。地獄の底から響いてくるような。聞く側の死を予感させるような。

  

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かれこれ半年くらい我慢しているのだが、毎週金曜日の23時頃から始まると気づいたのは2ヵ月くらい前のこと。隣に住んでいるのは30代半ばを過ぎたと見える、一人暮らしの女性だ。

 

旋律が完全に酔っぱらっている。千鳥足だ。実に実に実に気持ちが悪い。ただ、いつもいつも同じ曲を歌っている。しかし、それが何かはわからない。

 

ついカッとなって、隣の部屋との壁を叩いてやったのが先月。ずっしりとしたコンクリートの感触が、右のげんこつの外側に残った。うちはRC造だった。

 

せめて何の曲なのか確かめるべく、耳をそばだててみた。するとどうだろう・・・・・・これでいいの自分を好きになって。二度と涙は流さないわ。なんと、レリゴーだったのだ。

 

こんなにメジャーな曲もわからなくなるような歌唱力って、世の中に存在する?そんな風にも思ったが、金曜の夜に女性が一人、エンドレスにレリゴーを歌っているのだ。

 

私はそれ以来、毎週金曜23時は聖母になったつもりで、隣人のレリゴーを聴くことにした。歌いなさい。気の済むまで。歌い続けなさい。

 

なのに今夜は、そんなレリゴーが聞こえない。ガチで心配しておるぞ。